’00年度 皆見竜也 とは?


左より、皆見、山本、片桐。

卒研では表面分析(EPMA)への応用を目指した 半導体X線センサーの試作と特性評価を行いました。 左の写真の真空装置のガイスラ放電管のそばに試作したショットキー ダイオードをセットし、ガイスラー管を放電させ(赤紫色に光っている) 放出されるX線の信号を測定しました。右の写真がその信号パルスです。 放電電圧は60Hzの交流なので、上下に配置された二つの電極から 交互にX線が放出されます。右の写真の三つの大きなパルスは60Hzのノイズ で、これが位相の変わり目のマーカとなります。つまり、写真の右半分と 左半分のパルスはそれぞれ別の電極から放出されているわけです。 真空の状態が良くないので、連続放電させると電極部にカーボンが 堆積し、みるみる黒くなってゆきました。これに伴ってパルス数も 時間に対して指数関数的に減少してゆきました。 プラズマ中の電子はカーボン膜を通してアルミ電極に到達し、X線を 放出するわけですから、電子のカーボン膜中での平均自由工程をλ[nm]、 カーボン膜厚の堆積速度をD[nm/s]とすると、電極に到達する 電子数N(t)は

N(t)=N0exp(−D・t/λ)

となります。X線強度はこれに比例するはずです。 それぞれの電極について別々にパルス数の時間変化を 数え、上式にフィッティングすると、左半周期のデータから D/λ=0.0256[1/s]、右半周期のデータから D/λ=0.042[1/s]が得られました。電子のエネルギーが不明 なのでλの正確な値はわかりませんが、約1kevとすると λ〜10[nm]程度ですからDはそれぞれ0.256および0.42 [nm/s]程度となります。二つの電極でカーボンの堆積速度が かなり異なることがわかりました。


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