by (97年度滝口洋一、
岡晃次、広葉正和)
物質の表面から物質内部に向かっての元素濃度の変化、深さ方向の濃度分布の事を
デプスプロファイル (depth profile) と呼び、デプスプロファイルを測定する事を
深さ方向分析、デプスプロファイリング (depth profiling) という。
これは半導体デバイスの分野や、各種コーティングの分野などの現場で必要とされる
実用上重要な測定技術である。深さ方向分析には色々な手法があるが、
ここで述べる方法は表面分析技術とイオンビームによるスパッタエッチング
を組み合わせる方法である。オージェ電子分光法などの表面分析法で
表面数原子層の厚み内の元素濃度を測定できるわけだが、試料にイオンビームを
照射し、スパッタエッチングを行い表面を削りながら表面分析を連続的に
行えば深さ方向の濃度変化を測定できる。
深さ方向の分解能(測定の精度)は主に次の三つのパラメータによって決定される。
精度の高い深さ方向分析を行うためにはこれらのパラメータを小さくするような工夫をしなければならない。
深さ方向分布のシミュレーションの一つに、以上の三つのパラメータの効果を取り入れた
MRI モデルシミュレーションと呼ばれるものがある。