DLC薄膜の作成(イオン工学研究所)



by(97年度、小林寛明)

最近科学技術の発展に伴い、ダイヤモンド、cBN といった超硬質膜の形成技術が 飛躍的に進歩している。従来では TiN、TiC といった硬質材料が利用されて来たが、 それらにかわる薄膜材料としての応用が考えれている。これらの超硬質膜は 従来微小結晶、粉末でしか得られていなかったが、最近では大面積および 複雑形状として得られるようになって来ている。さらにダイヤモンド、cBN ともに 同一組成でありながらそれぞれグラファイト、hBN という固体潤滑特性を 有する構造形態が存在し、これらの構造をうまく組み合わせれば超硬質で あることに加えて対摩耗性、潤滑性を兼ね備えたダイヤモンドライクカーボン膜、 cBN ライク BN (cLBN) 膜を作る事が可能となる。 この DLC 薄膜のような超硬質膜が様々な分野で実用化されたときの波及効果は 極めて大きいと考えられる。機械工具の分野ではコーティング することにより高硬度化、高寿命化を図る事ができる。またトライボロジーの 分野においては固体潤滑材(MoS2、グラファイトなど)のように いわば自己犠牲型ではなく、対摩耗性を備えた潤滑性表面による摩耗対策として 利用する事ができる。また装飾品などの腐食を防ぐ保護膜としても利用できるで あろう。 DLC薄膜は上記のような優れた性質を持ち、広い分野で応用される事が 期待されるが、適用分野によっては基板の密着性、膜強度、潤滑性など まだまだ不十分な場合も多い。このため本研究ではDLC薄膜表面の 平滑化と硬度、密着力の改善を目的としてDLC薄膜の作成を行った。


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