分子動力学法 :MD法
('98年度 安雲政裕)
気体、液体、固体をどう区別するかという事を考えた時
これはさほど単純な問題ではない。
例えば、高い所から水の中に飛び込むと、水面はまるでコンクリート
のような硬さにまでなるという。こういう風に、固さもぶつかるスピード
によって変化することはよく知られている。こうしてみると、液体・固体・
気体の区別は簡単に固さだけというわけにはいかない。
さらに、氷が水に変わる融点や、水が蒸発する沸点のような臨界点付近では
、これらの区別がますます難しくなる。
したがってこういう疑問をもっとミクロな立場で、一つ一つの分子レベルまで
立ち戻ってくる必要がある。この目的で使われているのが分子動力学法
(Molecular Dynamics)である。これは液体のような膨大な数からなる
物質を、いくつかの代表的な分子の運動をコンピュータシミュレーションで
追跡することによって、そのマクロな性質を求める方法である。
基本的に以下の手順で多粒子系の運動をシミュレーションする。
- ある瞬間に、ある一つの粒子に注目し、まわりの粒子からの合力を計算する。
- その力から速度とある微小時間での移動量を求め、新しい座標と
速度を計算する。
- 1・2を全ての粒子に体して基準の粒子から実行して行く。
- 時間ステップをひとつ進め以上の計算を繰り返す。
原子、分子のバルク状態を扱う場合、分子動力学法がよく用いられる。。対象物質は 10 23個
程度の原子、分子からなるが、当然計算機ではこれら全部は扱えないから
、その一部分を取り出してきて、基本セルの中に配置する。基本セル
の周辺部の原子・分子は表面になってしまい、もともと扱いたかった、
バルク状態とは異なる。これを防ぐために、分子動力学法では周期境界
条件を使う。
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