by ('98年度M2安井利実)
現在市販の物理分析装置には例外なく個別に専用のパソコンやワークステーション
が付随している。これらのハードウェアならびに測定・制御・データ解析用のソフトウェア
にかかる費用は比較的高価なものとなっている。
これに対し本研究で提案する"サーバ・クライアント方式
のテレプレゼンスシステム"
は以下のようなものである。
複数の分析装置をネットワークで結ぶわけであるが、各装置に付随するコンピュータ
は分析装置との必要最小限の基本的なデータ入出力と、他のホストとの通信
のみを担当する。これを計測用ホストと呼ぶことにする。
この端末は安価なパソコンと PCーUNIX を組み合わせることで実現できる。
次に、ネットワーク上に1台の測定・制御・データ解析用サーバ(テレ
プレゼンスサーバ)を置く。テレプレゼンスサーバは、計測ホストへの計測指示
、データの表示、データ解析を行い、また同時にデータベースサーバの役割も果たす。
このサーバはすべての計測用ホストや一般のクライアントから利用でき、各ホスト
はこのテレプレゼンスサーバと通信しながら分析装置を稼働させることとなる。
この方式においては、従来計測用ホストが個別に持っていたソフトウェアは
テレプレゼンスサーバ1台が持てば充分であり、ソフトウェアに関する経費
を大幅に削減できる。しかもこれにより、各分析装置において共通のデータフォーマット
、データ解析法が使用できる。また、すべての測定したデータはテレプレゼンス
サーバで管理されるため、ひとつの計測ホストで測定したデータを、ネットワーク
上のすべてのホスト、クライアントコンピュータから参照できる。この参照はリアルタイム
で行うこともできる。即ち、ある分析装置で行われている実験の様子をネットワーク
上の複数のコンピュータで同時にモニタできる。ゆえに、実験装置から遠く離れた
人達が、あたかもその装置のそばに居るかのように実験に立ち会えるわけである。
これが telepresence の語源である。
副産物として遠く離れたクライアントから分析装置を制御することも可能である。
このようなネットワークはPC‐UNIXを用いれば非常に安価に実現できるはずである。