PC‐UNIXネットワークを利用した
遠隔測定制御データ共有技術(テレプレゼンス)に関する研究
(なぜ PC-UNIX か?)

by ('98年度M2安井利実)



近年パーソナルコンピュータの性能の向上は目覚しく、メモリやハードディスク 等の低価格化と相まって、数年前のワークステーション並のコンピュータ環境 が個人レベルでも容易に得られるようになってきた。そのような背景から最近ではパソコン上で 稼働するUNIX(PC‐UNIX)がいくつか開発されている。フリーウェアでも Linux , FreeBSD, NetBSD, OpenBSD などがよく利用されており、すでに相当の実績が あげられている。これらのPC‐UNIXは性能的に市販のUNIXとほとんど同等であり、 また多くのフリーウェアを利用できるという点で、 またそのため開発したソフトを一般に公開できるという点で大学等での使用に適していると 思われる。当研究室でも FreeBSDを用いた小規模ネットワーク(SST‐LABネット ワーク)を構築してUNIX学習用システムとして利用している。
本研究はこのネットワーク上に後述するような遠隔測定制御データ共用システム (以下テレプレゼンス)を試作することを目指したものである。 ネットワークにつながったコンピューターは、隣の机の上にあろうと地球の 反対側にあろうと全く同等である。 従って、研究室内 のネットワーク上で成功した技術は世界中のコンピュータから同じように利用することが 可能となるはずである。


また別の話

現在市販の物理分析装置には例外なく個別に専用のパソコンやワークステーション が付随している。これらのハードウェアならびに測定・制御・データ解析用のソフトウェア にかかる費用は比較的高価なものとなっている。 これに対し本研究で提案する"サーバ・クライアント方式 のテレプレゼンスシステム" は以下のようなものである。
複数の分析装置をネットワークで結ぶわけであるが、各装置に付随するコンピュータ は分析装置との必要最小限の基本的なデータ入出力と、他のホストとの通信 のみを担当する。これを計測用ホストと呼ぶことにする。 この端末は安価なパソコンと PCーUNIX を組み合わせることで実現できる。 次に、ネットワーク上に1台の測定・制御・データ解析用サーバ(テレ プレゼンスサーバ)を置く。テレプレゼンスサーバは、計測ホストへの計測指示 、データの表示、データ解析を行い、また同時にデータベースサーバの役割も果たす。 このサーバはすべての計測用ホストや一般のクライアントから利用でき、各ホスト はこのテレプレゼンスサーバと通信しながら分析装置を稼働させることとなる。 この方式においては、従来計測用ホストが個別に持っていたソフトウェアは テレプレゼンスサーバ1台が持てば充分であり、ソフトウェアに関する経費 を大幅に削減できる。しかもこれにより、各分析装置において共通のデータフォーマット 、データ解析法が使用できる。また、すべての測定したデータはテレプレゼンス サーバで管理されるため、ひとつの計測ホストで測定したデータを、ネットワーク 上のすべてのホスト、クライアントコンピュータから参照できる。この参照はリアルタイム で行うこともできる。即ち、ある分析装置で行われている実験の様子をネットワーク 上の複数のコンピュータで同時にモニタできる。ゆえに、実験装置から遠く離れた 人達が、あたかもその装置のそばに居るかのように実験に立ち会えるわけである。 これが telepresence の語源である。 副産物として遠く離れたクライアントから分析装置を制御することも可能である。 このようなネットワークはPC‐UNIXを用いれば非常に安価に実現できるはずである。

テレプレゼンス体験!



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