分子動力学法によるZr/W(100)の表面再構成のシミュレーション
タングステンは融点が高く、高温にも耐えられるので
電子が取り出しやすく、電子銃の電子源として広く
用いられている。
そのタングステンの電子をより取り出しやすくするために
タングステンの仕事関数を下げてやることがしばしば行われる。
その方法として、アルカリ金属をタングステン
表面に蒸着させて仕事関数を下げる方法があるが
アルカリ金属では融点が低いために、すぐに蒸発
してしまうので、用途に応じてジルコニウムが用いられる。
ジルコニウムを酸素雰囲気中でタングステン表面に蒸着
させ、加熱すると
ジルコニウム原子はタングステンの中に拡散する。その後、
酸素を排気するとジルコニウムが表面に偏析し、被覆層を
形成する。この被覆層が何らかの損傷を受けると
ジルコニウムが内部から出て来て、
常に表面第1層だけが、ジルコニウム薄膜の状態になる。
これを自己修復という。
この状態の時の表面構造が温度(熱エネルギー)によって、
常温だと C(2×4)構造になり、
約1000度で C(1×1)構造に変化する。
この相転移の過程をシミュレーションする。
C言語で分子動力学法を用いてプログラミングを行い、 更にJAVAに移植して可視化する。 ネットワーク上での利用も検討する。