オージェ電子分光法とは?



原子核の周りには、電子が何層もの殻のようにとりまいていて、内側から K殻、L殻、M殻....というふうに名前がつけられています。

今、原子の外側から 数 keV の電子(一次電子)を照射し、内殻の電子(図ではK殻)の電子を弾き出したと します。原子の中の電子はなるべく低いエネルギーになろうとしますので、 K殻にできた空席に上から電子が落ちて来ます(図ではL殻から)。

このとき、落ちて来た電子は余剰エネルギーを放出しますが、このエネルギーを 近くの電子が受け取ると原子から飛び出すことができます。この現象をオージェ過程と呼び、この電子の ことをオージェ電子と呼びます。図の場合には、K殻とL及びL2、3殻が このオージェ電子放出に関与しますので、KLL23オージェ電子と呼ばれます。

オージェ電子の持つエネルギーは図から明らかなように原子によって異なりますので、 これを測定することにより、元素分析(どのような元素が 存在するか調べる事)が できるというわけです。

オージェ電子のエネルギーは大抵の場合、1keV 以下と低く、材料表面から 数原子層より深い所からは真空中へ脱出することができません。このため、 オージェ電子分光法は、表面数原子層の組成分析に適しているのです。

私達の研究室では、走査型オージェ電子顕微鏡(日本電子製、JAMP-10)を用いて、 表面分析の研究を行っています。



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