電子の原子断面積とは?


('00年度 高橋大輔

図に示すように入射粒子がある標的に衝突し、散乱されるものとする。 このとき実験において測定できる量は、原点Oにおかれた標的から 十分に遠くに離れた場所に散乱されてくる粒子の数である。いまZ方向に 毎秒単位面積を通って入射してくる粒子数をN[個/cm2/s] であるとし、 原点Oを中心とする半径rの球面上の面要素dsに垂直に出て来る粒子の 流れの強度、つまり毎秒dsを通って散乱されてくる粒子数をΔN[個/s] とする。するとΔNはNds/r2 に比例する。 dΩ=ds/r2はdsを原点から見た立体角であるから、

ΔN=σ(θ)NdΩ

とかくことができる。ここで比例定数σ(θ)は散乱角θの関数である。 この関係からσ(θ)は毎秒単位面積を通って1個の粒子が入射したとき、 散乱角θの方向の単位立体角内に散乱されてくる粒子数の割合を表すことがわかる。 この量は次元的には、[N]=cm-2s-1、[ΔN]=s-1 であるから[σ(θ)]=cm2となり、従って面積の次元を持っている。 そこでこのσ(θ)を微分散乱断面積という。またこれを全立体角にわたって 積分したものを全断面積という。電子の場合は散乱振幅f(θ)の二乗に等しくなる。

σ(θ)=f(θ)2



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