X線発生原理とは?
('00年度 荒井孝夫)
タングステンフィラメントに電流を流して加熱すると、フィラメントから熱電子が放出される。
これを高電圧で加速し、ターゲット(Cu, Al, Mgなど)
に衝突させるとX線が発生する。ここでターゲットに衝突する
電子の運動エネルギーのほとんどは熱に変換され、
X線に変換される割合は約0.1%程度である。そのためターゲットは
高熱となってしまうので、冷却装置が必要である。
X線には大きくわけて連続X線と特性X線の2種類がある。
連続X線
次の図に連続X線発生過程を示す。今、電子Aがエネルギーバンド内の電子Bを弾き飛ばした。
するとそこに空席が生じて、そこより高いエネルギーを持った電子が
落ちてくる。するとこの電子の余剰エネルギーがX線となって
放出される。
エネルギーバンド内では電子は連続的に様々なエネルギーを持つことが
できるのでX線のエネルギー(波長)も連続的となり、これを連続X線(白色X線)
と呼ぶ。
特性X線
特性X線は、原子の内殻電子の移動(遷移)によって生じる
ものである。図に示すように内殻電子は物質によって軌道(エネルギー準位)
が決まっているので、連続X線とは異なり、物質に特有のエネルギー(波長)
をもったX線が発生する。いくつかの物質に対する特性X線のエネルギーを
表に示す。
X線 | エネルギー[eV] |
CuLα | 929.7 |
MgKα | 1253.6 |
AlKα | 1486.6 |
SiKα | 1739.5 |
ZrLα | 2042.4 |
TiKα | 4510.0 |
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