グロー放電発光分光法とは?
Glow Discharge Spectroscopy (GDS)
グロー放電とは、気体圧力が 10-0.01 Torr 程度の真空内の二つの電極管に高電圧をかけたとき
電子と気体との衝突によってガス成分が励起され光を発する放電メカニズムをいう。
図は平行平板電極放電の典型的な電流ー電圧特性を示したものである。図の EーF 間は
正規グロー放電
領域でスパッタリングはほとんど
起こらず放電気体の発光スペクトルのみが観測される。F 点を過ぎると陰極全面が陰極点と
なるため放電電流の増加は陰極に於ける電流密度の増加を伴うようになり、その結果
放電電圧が上昇する。この FーG 間は異常グロー放電
領域と呼ばれ、この領域では
イオン化されたガス成分による陰極面のスパッタリング
が起こり、放電光中に陰極材料のスペクトルが観測されるようになる。これを利用して
分析材料を陰極として異常グロー放電を起こさせ発する光を分光することにより
元素組成分析を行うのが GDS である。
GDS の特徴は
- 超高真空を必要としない。
- グリムタイプの放電管を
利用すると迅速な測定が可能で、試料交換も含めて一試料当たり5分程度で
測定が終了する。
- スパッタ速度が速い。
- 測定面積は 8mmΦ 程度である。
- 定量性に優れている。
- 深さ分解能数十Å程度の深さ方向分析が可能である。
- 放電電圧をパルス化することで絶縁物分析に応用できる。
等である。
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