(99年度)的塲 慎治 とは?



卒研ではブラスバンドクラブの先輩である前田さんより、 グロー放電発光分光分析(GDS)の研究を引き継ぎました。 前田さんの製作した回路では制御用のメイントランジスタが突発的なグロー→アーク遷移時に 死にやすいという問題がありました。(正常動作時には問題なし。) そこでメイントランジスタを 2SC2770 に交換しました。このトランジスタのコレクタは厚さ 7mm 、45 X 55 mm の 長方形のステンレス板でできています(写真白丸の中参照)。さらに念をいれ、古いラックについていた大型の ファンを取り付けて冷却しています。大変ものものしくなってしまいましたが(なぜか前田さんには大変受けた。) これにて安心して実験できるようになりました。


改造されたGDS電源内部。
白丸内のメイントランジスタに注目!
矢印の大型ファン付き。
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1999.11.4-5,PSA-99 にて。
GDS 用半波整流電源。
(左から、的塲河田

この電源を用いて測定を行い PSA-99 にてポスター発表を行いました。会場にて、いくつかの理由で全波整流方式の 方が良いとのアドバイスを受け、全波整流方式への改造を行いました。 グロー放電管は山崎さん の製作されたものを引続き使用していますが、 測定したい、300 nm 以下の波長領域の感度がなく、窓材や、光電子増倍管を交換したりしましたが、 うまくゆきません。どうも窓材が合成石英ではなかったようで、今後このあたりの詰めが必要です。


全波整流電源の出力波形

本方式で絶縁性試料を測定する原理を簡単に説明します。上図は放電用電源の出力波形です。 絶縁性試料では放電時に試料表面に電荷の蓄積が生じ、電位が上昇するため、充分な イオンの加速ができなくなるのですが、図のように間断的に放電を行えば、放電していない ときに電荷が表面から逃げてゆき、帯電効果を抑制できるということです。 私達の電源では、1周期あたりの放電時間の割合を0〜100%の範囲で変化させることができます。 (下図参照)シンプルな回路でこれを実現しているところがミソです。 (電圧の最大値は1〜2 kV 程度)

引き続いて測定用プログラムの製作を行いました。研究室では計測機器をネットワークに 接続するために PC-UNIX の利用を進めていますので、私も Tcl/Tk という言語を用いて UNIX の X-Winodw 上で動作するプログラムを作成しました。ところで UNIX の ネットワーク機能を利用するのは良いのですが、UNIX はタイムシェアリング方式で 複数のプロセスを走らせていますから、測定プログラムが正確に一定間隔で動作する 保証がありません。このためリアルタイム測定用に ART-Linux という Linux kernel への パッチが開発されています。これを利用するために計測用ホストには Red Hat Linux を インストールし、kernel を ART-Linux に交換しています。プログラムの開発は FreeBSD 上で行いました。

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回路製作に勤しむ私(左図)と、GDS測定プログラムの画面(右図)

ART-Linux を導入し、A/Dボードと直接インターフェースするC言語で作成した部分をリアルタイム化 し、動作確認をしました。ART-Linux を起動すると、なぜか Xが動かず(原因追跡中)、他の FreeBSD マシンから telnet して FreeBSD マシンのX上で動作確認しました。期せずして遠隔測定の確認にもなったというわけです。


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